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ESR法
-測定対象は貝殻(アラゴナイト)と石英です-

概要

 電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance:ESR)装置を用いると、物質中の不対電子の濃度がESR信号として認識できます。このESR信号の強度(不対電子の濃度)は、物質が生成された時、または加熱などによってその強度がリセットされた時以降、周辺環境から受けてきた放射線量(総被曝線量)と、正の相関関係にあるとされています。ESR法では放射線の年間線量を一定と仮定して、物質の生成または加熱時以降の年数を以下の式で算定します。

ESR年代値=総被曝線量/年間線量

 総被曝線量は、人工的に放射線を試料に付加して得られた放射線量とESR信号強度の関係式から逆算されます。
 年間線量は堆積物中の放射性元素のウラン、トリウム、カリウムの含有量、含水比、および宇宙線から算定されます。

試料

 総被曝線量を見積もるための試料(ESR測定用)と、年間線量を見積もるための試料(分析用)の、2種類の試料が必要となります。

  1. ESR測定用試料
    石英ではリセット時期を知ることができます。しかし、感度上1試料の測定に数gの石英が必要ですが、試料調整上石英の純度の問題があり、少量の試料で測定できるTL法との併用をおすすめします。
    貝化石では貝の生成時を知ることができます。貝殻にはカルサイトからなるものとアラゴナイトからなるものがあります。カルサイトは二次的に晶出する可能性があることと、多くの不純物によってESR信号の測定が困難となる可能性があるため、アラゴナイトからなる貝殻が試料として最適です。試料は、露頭表面から20cm以深で採取します。
  2. 分析用試料
    ESR測定用試料を採取した地点の半径50cm以内から、包蔵層を代表する試料を採取します。この試料で放射性元素の含有量、含水比などを測定するため、自然状態を保つようにします。

特徴

14C法の適用年代範囲を越えた、数万~数十万年前の試料について測定できます。また、同一試料を繰り返し測定でき、追試が可能です。


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